【読書】悪魔の種子
茨城県霞ヶ浦で他殺体が発見される。身元は長岡の農業研究所の職員だった。死体発見者は水産試験場の職員だった。その少し前に、茨城県の農業研究所の職員が秋田県で殺された。容疑者にほのかな恋心を寄せる女性は、無実を信じて親友に相談する。「あなたの"お坊ちゃま"に助けてほしい……」。"お坊ちゃま"こと浅見光彦は、お世話になっているお手伝いのスミちゃんのため事件現場へ。二つの事件が結びついたとき、水稲の品種改良にかかわる黒い動きが姿を現した!
浅見光彦シリーズは、ヒロイン役と光彦の絶妙な距離感がお約束。実は刑事局長の弟、という挿話も定番だ。寅さんと水戸黄門の要素を現代の推理小説に持ち込んだわけだから、人気シリーズになるのも当然。ところが今回はヒロイン不在。序盤に登場するスミちゃんの親友がそうかな、と思うけれど、彼女には心に決めた人がいる。浅見の身元は早々にさらりと明かされる。だから捜査しやすいったらありゃしない。