望郷の道
新聞連載小説で、単行本は2009年の発売。文庫で読む私には待望の新刊です。
明治時代。北九州で石炭輸送船の船頭が、佐賀で賭場を切り盛りする女親分に婿入りする。しかし賭場を守るため勝負に出て、大親分から九州追放処分になってしまう。目指したところは日本統治下の台湾。そこで菓子職人に転じた男の物語。なんと、モデルは北方謙三さんのご先祖だとか。
現代物が減って、歴史ロマンに重きをおく北方さんには珍しい近代もの。そして、ハードボイルド風でありながらサクセスストーリー。夢中で読みました。相変わらず文章ひとつひとつがカッコイイ。婿入りの桜のシーンなんて、ほんとうに色鮮やかで。この場面が印象にあるからこそ、主人公の望郷の思いがひしひしと伝わってきます。妻となる女親分もカッコいい。しびれる。
ストーリー構成としては、ジェフリー・アーチャーの『チェルシー・テラスへの道』に近いかな。商売を大きくしても基本を忘れない。仕事の鬼でありながら、家族の幸せを第一に考える。陰険なライバルとの戦いもあり、ほんとうに見事。そういえば、肉弾戦ばかりという印象の北方作品としては珍しく、インテリな経済戦も描かれています。日経の連載だったからかな……。
文庫解説で続編を読みたいとありましたが、そりゃ野暮でしょう。ここで終わるからいいんじゃないの。これこそが北方謙三の美学ですよ。主人公とともに喜び、腹を立て、そして泣ける。ふかーく泣ける。読書って楽しいなあ!
明治時代。北九州で石炭輸送船の船頭が、佐賀で賭場を切り盛りする女親分に婿入りする。しかし賭場を守るため勝負に出て、大親分から九州追放処分になってしまう。目指したところは日本統治下の台湾。そこで菓子職人に転じた男の物語。なんと、モデルは北方謙三さんのご先祖だとか。
現代物が減って、歴史ロマンに重きをおく北方さんには珍しい近代もの。そして、ハードボイルド風でありながらサクセスストーリー。夢中で読みました。相変わらず文章ひとつひとつがカッコイイ。婿入りの桜のシーンなんて、ほんとうに色鮮やかで。この場面が印象にあるからこそ、主人公の望郷の思いがひしひしと伝わってきます。妻となる女親分もカッコいい。しびれる。
ストーリー構成としては、ジェフリー・アーチャーの『チェルシー・テラスへの道』に近いかな。商売を大きくしても基本を忘れない。仕事の鬼でありながら、家族の幸せを第一に考える。陰険なライバルとの戦いもあり、ほんとうに見事。そういえば、肉弾戦ばかりという印象の北方作品としては珍しく、インテリな経済戦も描かれています。日経の連載だったからかな……。
文庫解説で続編を読みたいとありましたが、そりゃ野暮でしょう。ここで終わるからいいんじゃないの。これこそが北方謙三の美学ですよ。主人公とともに喜び、腹を立て、そして泣ける。ふかーく泣ける。読書って楽しいなあ!