『北の国から』というドラマを書いた倉本聡さんは、自身が住む富良野の人々を題材にしたエッセイ『
北の人名録』を書いて、これも当時ベストセラーになりました。黒柳徹子さんの『窓際のトットちゃん』と同じくらいの時期だったかな。
倉本さんは次に、北の人名録の登場人物を織り交ぜたファンタジー小説『
ニングル』を書きました。これも良い作品で、さんざん笑って最期に泣かせるタイプの話になっています。おお、そうだ、日本オリジナルのMMORPGとして、ニングルオンラインなんてどうでしょう?
『ニングル』は、人間とコロボックルのような森の妖精ニングルとのふれあいを通じて、人間の自然破壊への警鐘を描いていきますが、もうひとつのテーマとして、『知る権利』を濫用していいのか? という問題を投げかけています。初めてテレビのワイドショーを見たニングルはそこにあふれるゴシップを見て嫌気がさし「俺たちには知ラン権利がある。人間にはないのか?」と問いかけます。
知ラン権利とは、知りたくない情報を拒否する権利。
タレントのファンにとって、そのタレントの熱愛騒動は知りたくない。その報道は"知ラン権利"を侵害している、けしからん!というわけです。