いいね。これはいい。何がいいかって、まずは中村主永なきあとの『必殺』の道筋をきちんと作ってくれたこと。藤田まことさんもかなりお年で大病を患って、一度は引退を考えて『必殺! 主永死す』って映画を作ったくらいですよ。だけどファンは納得いかない。やっぱり主永の必殺を観たい。だけど、いつかは……って時は来る。そこで出てきた渡辺小五郎ですよ。境遇も生き方も中村主永に丸写しの昼行灯。この代替わりのために、中村主永が脇を固めて出演ってのもすごいこと。二代目を見届けたいんだね。藤田まことさんが必殺を愛しているんだなってわかりますよ。
脚本も良いね。現代の風俗を風刺しつつ、悪い奴は徹底的に悪く描く。だから"仕事"のあとにすっきりするんだよ。だけど悪人を殺したって頼み人は幸せにならない。そういう意味での後味の悪さ。それを拭うかのようなエンディングのギャグ。世の中どうにもならないが、悪い奴が消えたぶんだけマシ、というね。これが必殺。
ところで、今回のシリーズ監督の
石原興氏がいいこといってます。
完成したものを見たって反省しか残らない。「ああしたら良かった、こうしたら良かった」と後悔しながら、何十年もずっとやってきている。
ああ、そうなんだよなあ。作ってる時は会心の出来だと思うんだけど、あとから見ると完璧じゃない。だからずっと完璧を目指して頑張っていくんだね。