すぎやまの日々

と、いいますか、鉄道のローカル線廃止と郵便局廃止を一緒くたにしないでほしいわけです。私は鉄道ファンですから、鉄道が無くなるのは寂しいです。しかし、鉄道ファンだからこそ鉄道の仕組みがチョットだけわかる。

鉄道の維持ってとてもお金がかかるんですよ。車両の保守だけやればいいってもんじゃない。レールは点検しなくちゃいけないし、信号設備だってメンテが必要。鉄道の運行に必要なものすべてを鉄道会社が負担しなくちゃいけない。それで乗客が少なければ赤字で当たり前。維持で運行を続けると、その赤字分の負担は他の路線の運賃に跳ね返ってきます。

でも、移動手段としては鉄道だけではなく、バスという手段がある。バスの運行は鉄道会社に比べるとものすごく低コスト。道路や信号は自治体が管理してくれるし、バス停の標識があれば駅も要らない。乗客が少なくてバスで足りるなら、そりゃあバスの方が良いでしょう。これが赤字ロースカル線の廃止の理由なんですね。バスの本数が少なくて不便、というなら、オンデマンドシステムにすればいいわけで。固定ダイヤにこだわらなくていいんですね。そこまで踏み切らないから代行バスも赤字、なんて話になっちゃう。

郵政民営化の引き合いに出された三段峡の人が言ってましたよ。鉄道が無くなって客が減ったと。違うよね。お客に来てほしかったら迎えに行かなくちゃ。可部からバスに乗り換えてください、なんて言わないで、広島駅から直行便のバスを運行するくらい頑張らないと。

さて、田舎の郵便局ですが、民営化されても公益事業上、廃止はできないはずです。バスに当たるものがありません。だから、むしろ活用しようと考えるのが民間企業でしょう。振り返ってみれば、あれだけの窓口ネットワークを持っている民間企業はありません。そこで映画のチケットが買えたら便利ですね。航空券やＪＲの切符が買えたら便利です。通販商品の受け取りができたらいいな。新車の試乗の予約ができたらいいな、とかね。宝くじやTOTOが買えたらいいよねー。そんなわけで、実は、リテール商品を販売する民間企業は郵政民営化＝窓口の開放を待っているはずです。

いや、郵便局をバスにしちゃうって言う手もありますね。ウチの近所、ときどき移動郵便局っていうのかな、巡回郵便車が走っています。京浜島や城南島の工場を巡回しているんでしょうか。そういえばあのあたり郵便局がありません。超郵便過疎地帯。でも郵便車が戸別訪問してくれたらそっちの方が便利だもんな。渋谷や秋葉原あたりに出ているクレープ屋とか移動パン屋みたいなワゴン車でね。都会でも受けちゃったりして。郵便局が無くなったとしても、郵便バスを使ってもっと便利になるなら、そのほうが住民は嬉しいんじゃないかしら。郵便局ファンは残念がるでしょうが。

そんなこと、郵便局が民間企業じゃなくたってできる！　と思うでしょう。私もそう思います。でも、民間企業じゃなくてもできるなら、郵便局は民営化されなくても、いずれ地方の郵便局は淘汰され、もっと便利な郵便サービスに代替されるということになります。こうなると、郵便局が移動局になって困るのは、世襲制の郵便局長という地位に甘んじていた人々と、その人たちを票田としていた議員だけになります。民営化されてもされなくても、あなたたちの居場所はありませんから！

たぶんね、特定局長のなかでも、ちゃんと地域の将来を考えている人は、民営化されたらどんなふうに儲けようかと考えているはずですよ。コンビニにしちゃおうか、とかね。酒屋がコンビニになって酒を扱うコンビニになったみたいにね。郵便、簡易保険、貯金ができるコンビニになるんですね。そしたらお客さんも増えるし。記念切手のノルマ達成に貢献するかも知れないし。

まあそんなわけで、地方のローカル線には未来がなさそうなんだけど、地方の郵便サービスはものすごく明るい未来が待っているような気がします。民営化されてもされなくても。結局、淘汰されていくのは、やる気のない世襲郵便局長と、そんな票に頼る議員さんだけですね。お疲れ様でした。さようなら。

やる気のある、前向きな奴にちゃんと見返りがある。
そういう社会がいいんじゃないでしょうか。