(感想)秋田殺人事件
秋田で第三セクターの汚職事件が発生。人事刷新に揺れる秋田へ向かう敏腕女性官僚、望月の元へ汚職絡みの殺人事件を告発する手紙が届く。相談を受けた警視庁の浅見刑事局長は弟の光彦を私設秘書として随行させる。浅見光彦シリーズ異色の展開、スーツを着た探偵が事件の闇に挑む!
僕は内田康夫著作サスペンス小説『浅見光彦シリーズ』が好きで、文庫版はすべて読んでいると思ってた。内田氏は単行本→ノベルス→文庫になる過程で手を入れるタイプの作家なので、最終形態の文庫で読んでます。ところがどうもこれは見過ごしていたらしい。『地名+殺人事件』というタイトルは内田氏の初期の作品に多く、最近作ではないと思いこんでいたようです。
僕は内田康夫著作サスペンス小説『浅見光彦シリーズ』が好きで、文庫版はすべて読んでいると思ってた。内田氏は単行本→ノベルス→文庫になる過程で手を入れるタイプの作家なので、最終形態の文庫で読んでます。ところがどうもこれは見過ごしていたらしい。『地名+殺人事件』というタイトルは内田氏の初期の作品に多く、最近作ではないと思いこんでいたようです。
さて、浅見シリーズは100冊以上になり、これだけあると読み手の感動もさまざま。深く心に残る話もあればそれなりの話もある。秋田〜は僕の5段階評価では4、かなりいい話でした。自治体ぐるみで不正を許し、殺人事件まで葬り去ろうとする秋田県のお役人たちに、浅見は鋭く切り込んでいきます。犯人捜しが目的ではなく、被害者の名誉回復のために事件を解決します。これは浅見シリーズの傾向のひとつで、中には事件を解決せずに終わらせてしまう話もあるほど。でも、悲しみに暮れる被害者の家族が最後には笑顔を見せてくれる。だから読後がとても爽やかなんですね。
今回、僕のツボを刺激したセリフはこれ。
「(略)警察に疑問を抱きながら、それでも真っ当な警察官として生きていこうとしている人々は沢山いるじゃないですか(中略)その人たちは、あなたのような正義感あふれる先輩を失って、いったい誰に何を学べばいいのですか」
責任を取って引退する形で、実は嫌気がさして現場を去った、そんな元警察官に対して浅見は真実を明かすよう訴える。チャーチルの名言「決して屈するな」に通じる強いメッセージでした。
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