煤煙
一人称小説です。序盤から引き込まれます。主人公の青井が部屋でコーヒーを飲もうとする場面。ところがどうも普通の部屋じゃない。え、そうなの? という場所に彼は住んでいます。そんな彼の職業もすごい。北方文学にしては珍しい知的な仕事。社会的な権威もある職業なのに、青井はやっぱりアウトローです。
大きな事件が起こるわけではなく、2,3の事件が平行します。でもそれは本編の重要な要素ではなく、青井と別れた妻、別れた娘との関わりが本筋のようです。家族を捨てた青井が、少しずつ壊れていく。北方文学の特徴でもある「滅びの美学」や「喪失」が最後まで貫かれます。暴走の果て、大切な人を失うか、自分が死ぬか。北方作品はだいたいこのふたつに分類されます。さて、今回はどっちでしょう。
大きな事件が起こるわけではなく、2,3の事件が平行します。でもそれは本編の重要な要素ではなく、青井と別れた妻、別れた娘との関わりが本筋のようです。家族を捨てた青井が、少しずつ壊れていく。北方文学の特徴でもある「滅びの美学」や「喪失」が最後まで貫かれます。暴走の果て、大切な人を失うか、自分が死ぬか。北方作品はだいたいこのふたつに分類されます。さて、今回はどっちでしょう。
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