RBB TODAY 今どきゲーム事情0204 あとがき
日本のe-Sportsの重要なフレームであるnegitaku.orgの参加者からツッコミが入りましたので(笑)。ちょいとイイワケを書きます。文章を製造して報酬をもらう人間として、これはよろしくないことなんですが。
今回のコラムは長いです。私も「コラムじゃないじゃん」と思った。なぜならこれ、論文なんです。今回は感性工学の修士論文の一部を抜粋し再構成したものです。なぜかというと、12月から1月にかけて、私の時間のほとんどは修士論文に費やされてしまったので、このネタでやるしかなかった(笑)。
今回のコラムは長いです。私も「コラムじゃないじゃん」と思った。なぜならこれ、論文なんです。今回は感性工学の修士論文の一部を抜粋し再構成したものです。なぜかというと、12月から1月にかけて、私の時間のほとんどは修士論文に費やされてしまったので、このネタでやるしかなかった(笑)。
あ、いきなり話をそらしますが、昔、ログインというゲーム雑誌が、発売から半年も経った『A列車で行こう3』というゲームを特集して、その結果としてA3がすごく売れた。あの裏にはゲームメーカーとの癒着があったんだろう、という推測があるみたいですが、実はあの当時、編集者のほとんどがA3にハマっちゃって、A3で記事を作るしかなかったんですね。あの当時のログインの記事はスタッフライティングでしたから。信長の野望や天下統一、大戦略などもそういうパターンじゃなかったかな。だから、「このネタでやるしかなかった」はログインのスピリットを継承したわけで(笑)。
話を戻します。ちなみに修士論文はもっと長いです。A4用紙で40枚ぐらい。図版を入れると50枚。それでももっと長くしろと教授に怒られた(笑)。学術界は変な世界だ。ライター家業は短い文章でスパスパっと書いた方がスマートなんですが、あっちは分量とか形式にこだわっちゃう。あ、そうか、私の論文の内容が薄いから分量で勝負するしかないのか。たはははー。
修士論文ではゲーム業界もe-Sportsも理解していない方向けに、紹介や説明の部分を追加しています。それをああいう形でコラムにしちゃったから、ゲームやe-Sportsに詳しくて、逆に感性工学を知らない人には話の展開が見えないですね。先に結論を簡潔に書いてから話を進めるべきだったかもしれません。
感性工学とは何かといいますと、定義としては“人間の持つ感性やイメージを具体的にモノとして実現するための設計レベルへ翻訳する技術”だそうです。発祥は日本で、1970年に広島大学の長町三生助教授(現教授)が始めたらしいです。当時は情緒工学と称されていたようで、人間工学から派生した研究らしい。
感性工学の趣旨は、消費者とコミュニケーションを取った上での商品開発手法、つまりマーケティングです。企業の営業部門や広告代理店の常套句はマーケティング、しかしこの言葉は曖昧すぎて、体系的に研究されていない。「なぜあのクルマが売れたのか、こんな人が買ったからだ」という分析があって、「じゃあ同じモノ作って売ってみるか」とか、「このクルマは、30代半ばで時間とお金に余裕のある人を想定しています。その人には結婚を前提とした恋人がいて・・・・・・」なんていう甘ったるいストーリーを並べて、実はその想定の根拠が数字で示されていない。そんなことばかりやってるわけです。
現在は自動車関係、電機、鉄鋼、繊維など、研究期間を持つ企業はすべて感性工学の手法を取り入れているようです。だから広告代理店の営業さんが、これらのメーカーさんに生半可なマーケティング知識をひけらかすと恥ずかしいことになるんじゃないかしら。
そこで今回の論文なんですが、e-Sportsの市場とはどういうモノだろう、という感性工学的な分析から始まっています。当初は漠然と、「e-Sportsはコミュニティが盛り上げていく、メーカー主導ではなくてユーザー主導の市場だな」と漠然と考えていて、「これは感性工学の範疇じゃありませんか?」というオチのない論文になりそうでした。けっこう面白がってくれる先生もいらっしゃいましたし。これでいいかなー、と。
だけど、数値化は私の頭脳では難しく、教授に式の作り方を相談したら変数が多すぎて難しいな、という話になり、しかたなく図を描いたんですね。そしたらなんと、e-Sportsコミュニティが作用しているとハッキリわかる曲線が描けた。それが後半の部分になります。いままで、感性工学を応用した感性商品の開発はできていたんですが、それは個々のユーザーのニーズを統計的に分析したものなんですね。しかしe-Sportsはコミュニティが商品の選択権を持っている。この市場は感性市場と呼べるのではないか。つまり私は、いままで曖昧に使われていた"感性市場"の正体を見極めちゃったかもしれません。という話です。
枕としてSIGUMAさんのプロゲーマー化という話が入ってますが、これはニュースとして紹介しておきたかったからです。スポンサーに商社が入ったことに、感性市場の形成を裏付けられたという気持ちもありました。そこで『4dn.才民』にも触れていますが、これはまだ取材していないので書くべきではなかったかもしれないんですけど、SIGUMAさんが日本人初のプロゲーマー、という認識が先行しちゃうと、それ以前に発表された才民という会社? 団体? に失礼なんじゃないの、と思ったんですね。
それにしても、日本ではe-Sportsも感性工学も知られていない分野だなあ。こんなんでいいのかオレ。
【感性工学についてもっと知りたい!】
【感性工学に関する本】
話を戻します。ちなみに修士論文はもっと長いです。A4用紙で40枚ぐらい。図版を入れると50枚。それでももっと長くしろと教授に怒られた(笑)。学術界は変な世界だ。ライター家業は短い文章でスパスパっと書いた方がスマートなんですが、あっちは分量とか形式にこだわっちゃう。あ、そうか、私の論文の内容が薄いから分量で勝負するしかないのか。たはははー。
修士論文ではゲーム業界もe-Sportsも理解していない方向けに、紹介や説明の部分を追加しています。それをああいう形でコラムにしちゃったから、ゲームやe-Sportsに詳しくて、逆に感性工学を知らない人には話の展開が見えないですね。先に結論を簡潔に書いてから話を進めるべきだったかもしれません。
感性工学とは何かといいますと、定義としては“人間の持つ感性やイメージを具体的にモノとして実現するための設計レベルへ翻訳する技術”だそうです。発祥は日本で、1970年に広島大学の長町三生助教授(現教授)が始めたらしいです。当時は情緒工学と称されていたようで、人間工学から派生した研究らしい。
感性工学の趣旨は、消費者とコミュニケーションを取った上での商品開発手法、つまりマーケティングです。企業の営業部門や広告代理店の常套句はマーケティング、しかしこの言葉は曖昧すぎて、体系的に研究されていない。「なぜあのクルマが売れたのか、こんな人が買ったからだ」という分析があって、「じゃあ同じモノ作って売ってみるか」とか、「このクルマは、30代半ばで時間とお金に余裕のある人を想定しています。その人には結婚を前提とした恋人がいて・・・・・・」なんていう甘ったるいストーリーを並べて、実はその想定の根拠が数字で示されていない。そんなことばかりやってるわけです。
現在は自動車関係、電機、鉄鋼、繊維など、研究期間を持つ企業はすべて感性工学の手法を取り入れているようです。だから広告代理店の営業さんが、これらのメーカーさんに生半可なマーケティング知識をひけらかすと恥ずかしいことになるんじゃないかしら。
そこで今回の論文なんですが、e-Sportsの市場とはどういうモノだろう、という感性工学的な分析から始まっています。当初は漠然と、「e-Sportsはコミュニティが盛り上げていく、メーカー主導ではなくてユーザー主導の市場だな」と漠然と考えていて、「これは感性工学の範疇じゃありませんか?」というオチのない論文になりそうでした。けっこう面白がってくれる先生もいらっしゃいましたし。これでいいかなー、と。
だけど、数値化は私の頭脳では難しく、教授に式の作り方を相談したら変数が多すぎて難しいな、という話になり、しかたなく図を描いたんですね。そしたらなんと、e-Sportsコミュニティが作用しているとハッキリわかる曲線が描けた。それが後半の部分になります。いままで、感性工学を応用した感性商品の開発はできていたんですが、それは個々のユーザーのニーズを統計的に分析したものなんですね。しかしe-Sportsはコミュニティが商品の選択権を持っている。この市場は感性市場と呼べるのではないか。つまり私は、いままで曖昧に使われていた"感性市場"の正体を見極めちゃったかもしれません。という話です。
枕としてSIGUMAさんのプロゲーマー化という話が入ってますが、これはニュースとして紹介しておきたかったからです。スポンサーに商社が入ったことに、感性市場の形成を裏付けられたという気持ちもありました。そこで『4dn.才民』にも触れていますが、これはまだ取材していないので書くべきではなかったかもしれないんですけど、SIGUMAさんが日本人初のプロゲーマー、という認識が先行しちゃうと、それ以前に発表された才民という会社? 団体? に失礼なんじゃないの、と思ったんですね。
それにしても、日本ではe-Sportsも感性工学も知られていない分野だなあ。こんなんでいいのかオレ。
【感性工学についてもっと知りたい!】
【感性工学に関する本】
COMMENTS