『さらば長き眠り』
本当は“さよなら”と言っておくべきだった。私は"さよなら"という言葉をうまく言えたためしなど一度もないのだった。そんなことを適切なときに言える人間とはどういう人間のことだろう。
新幹線の車中でここまで読んでやっと気付いた。この本は前に一度読んだ。発表作が少ない原リョウという作家の作品は、すべて文庫で読んだ気がしたけれど、新刊のエッセイの隣に並んでいたのでうっかり買ってしまった。なんとなく既視感のある情景が多かったけれど、この文章で決定的。この文にかなり共感したことを覚えている。
この小説は私立探偵沢崎シリーズの3作目。沢崎が一年ぶりに事務所に戻ると、そこには浮浪者が寝泊まりしている。彼は依頼人からの伝言を預かっていた。しかし沢崎の仕事は、その依頼人を探すことから始めなくてはならなかった。11年前の自殺事件の真相、そして長き眠りから呼び起こされる者たちが動き出す……。
原リョウ氏はハードボイルドを愛し、チャンドラーやハメットを信奉している。エッセイの中で、チャンドラーを手本にしたと公言している。だから原リョウ氏の小説はチャンドラーを忠実に再現した作品だと言えるかもしれない。面白いことに、日本のハードボイルド作家の方々は、チャンドラーやハメットの信奉者だと公言している人が多い。それがひとつのブランドであるかのように。例外は北方謙三氏で、かれは元々純文学志向だった。ちょっと趣向を変えるつもりでエンターテイメントに徹した小説を書いたら、ハードボイルドとしてヒットしてしまった。それはともかく、ハードボイルドというジャンルは、チャンドラー、ハメットというキーワードで作家と読者が繋がっていくという独特の分野となっているようだ。そんな話はまた別の機会で書くことにして……。
うっかり2度も読んでしまった『さらば長き眠り』。以前読んだときよりも印象に残った。旅の車中で集中して読んだせいかもしれない。次から次へと新しいものを手にする前に、同じ作品をもう一度読むのも悪くないな、と思った。
さらば長き眠り(Amazon)
原リョウ氏はハードボイルドを愛し、チャンドラーやハメットを信奉している。エッセイの中で、チャンドラーを手本にしたと公言している。だから原リョウ氏の小説はチャンドラーを忠実に再現した作品だと言えるかもしれない。面白いことに、日本のハードボイルド作家の方々は、チャンドラーやハメットの信奉者だと公言している人が多い。それがひとつのブランドであるかのように。例外は北方謙三氏で、かれは元々純文学志向だった。ちょっと趣向を変えるつもりでエンターテイメントに徹した小説を書いたら、ハードボイルドとしてヒットしてしまった。それはともかく、ハードボイルドというジャンルは、チャンドラー、ハメットというキーワードで作家と読者が繋がっていくという独特の分野となっているようだ。そんな話はまた別の機会で書くことにして……。
うっかり2度も読んでしまった『さらば長き眠り』。以前読んだときよりも印象に残った。旅の車中で集中して読んだせいかもしれない。次から次へと新しいものを手にする前に、同じ作品をもう一度読むのも悪くないな、と思った。
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COMMENTS
ちなみに、通勤時の愛読書はフィリップKディックの短編集。これも10年くらい繰り返し読んでるなぁ〜