表記ルール
マイクロソフト株式会社が表記ルールを変更しました。ニュースでも話題になっていましたね。今回の主な変更は音引きです。従来はJIS表記をベースとして、コンピュータ、プリンタ、ルータ、というように、単語の末尾の音引きは省略していました。英単語の末尾のer orは音引なし、というルールだったんですね。実際の発音とは違うので当時は違和感もあったようですが、最近では口語でも音引きしない人が増えています。マイクロソフトルールで発音も変わっちゃったんですね。で、これはマズイ、と。
音引きが省略された理由についてマイクロソフトは「昔はコンピューターの記憶容量に限りがあり、少しでもデーターの量を減らすために音引きを省略した」とコメントしています。実はコレ、出版業界にも都合がよかったんです。行のアタマに音引きがあると、その手前の文字も繰り下げなくちゃいけない。これを禁則処理といいます。
音引きが省略された理由についてマイクロソフトは「昔はコンピューターの記憶容量に限りがあり、少しでもデーターの量を減らすために音引きを省略した」とコメントしています。実はコレ、出版業界にも都合がよかったんです。行のアタマに音引きがあると、その手前の文字も繰り下げなくちゃいけない。これを禁則処理といいます。
例えば1行20文字の場合、
10 20
杉山電気が発売するパーソナルコンピュータ
ーは低価格で高性能だ。
という配置は×です。この場合、
10 20
杉山電気が発売するパーソナルコンピュー
ターは低価格で高性能だ。
としなくてはいけません。そうすると文章のレイアウト上、端っこがデコボコになっちゃう。気の利いた写植やさんは半角空白を混ぜて整えてくれますが
10 20
杉山電気が発売する パーソナル コンピュー
ターは低価格で高性能だ。
こんなこといちいち面倒なわけです。音引きを省略できれば
10 20
杉山電気が発売するパーソナルコンピュータ
は低価格で高性能だ。
これでオッケーです。単語に音引きが無いほうが、レイアウト上は都合がよかった。こういう場面が多々あったわけです。だから出版業界も音引き省略へと流れていき、音引き省略が広まりました。
さて今回、マイクロソフトが音引きを解禁した理由は「国語審議会の基準に準拠する」ためです。つまり、いままでは産業に都合のいい日本語を使ってきましたが、これからは正しい日本語にしますということです。それができる理由としては、コンピューターが扱うデーター量が大きくなり、音引き程度の制限は意味が無くなったこと。そして、音声読み上げソフトに正しい日本語を喋らせるため、だそうです。音声読み上げソフトを理由に持ってくるなんてさすがだな、と思います。
それでは、出版業界はどうなのか。実はこちらも音引き程度の文字の処理は簡単にできるようになりました。最近の印刷物を見てください。文字間隔や文字そのものを微妙に変形させてデザインしています。読む人が気付かないレベルで1行あたりの文字数を自在に変化できるようになっているんですね。ワープロソフトを使っている人は、フォントをMSゴシックやMS明朝から、MS Pゴシック、MS P明朝に変更して見ましょう。Pはプロポーショナルフォントといって、文字の間隔を可変して読みやすくします。これとワープロソフトの禁則処理を組み合わせれば、音引きを省略しなくても末尾がきれいに並んだ文章になるんです。
マイクロソフトの表記ルールの変更は、コンピューター関連メディアや出版社にも影響を与えます。私も自分の表記ルールをマイクロソフトに準拠させようと思います。マイクロソフトの表記ルールって、音引き以外にもいろいろと細かく決められています。全部覚えるなんてとっても大変ですよ!
マイクロソフトの日本語表記スタイルガイドはこちらからダウンロードできます。
文章作法に興味がある人は見ておくといいと思います。
COMMENTS
なるほど納得しました。
チラシ、雑誌は読み捨てられる存在として最初から諦めてますがw
あと日本語が読めない中国で下請けレイアウトしてるみたいだしね。
>ミイさん。ものすごく文字間の空いた行がそのままだったりね。嫌だねアレ。MSの日本語IMEは中国で作ってるらしいね。だから私はATOK。