さまよう刃
「だけどこうなってはじめて思い知ったんです。法律は人間の弱さを理解していない、と」
娘を陵辱され殺された男。犯人は少年。法は娘に報いてくれない。悲嘆にくれる父親にかかってきた密告電話。そして彼は復讐を始める。犯人を追う父親。その父親を追う刑事たち。同情できない少年犯を守るために、被害者の父親を捕らえなくてはいけないのか。刑事たちもまた葛藤する。
主人公の憤りを表現するためには仕方ないとはいえ、序盤はあまりにもひどい話です。「最愛の人を失った人に復讐は許されるべきか」、「少年法はこのままでいいのか」。そういうテーマなんですが、いやまてよ? 東野圭吾さんですよね? あなたの小説にしてはストレートすぎませんか? テンポがいいのでスイスイ話が進みますが、なんか俗っぽいなあ。東野さんらしくないなあ、と思っていたんですが……。いやあ、やっぱりやってくれました東野トリック。そうきたか! やられた! って感じです。そこまで到達して、ようやくこの物語に隠されたメインテーマが浮かび上がってくる。
「それは正義なのか」
簡単には答の出ない問題です。しかし結末はあれでよかったと思います。
「それは正義なのか」
簡単には答の出ない問題です。しかし結末はあれでよかったと思います。
COMMENTS
このところ続いて読んでるのは東野圭吾だったり。
一人になれる個室wでの読書タイムだから、チョビチョビ読んでいくんだけど、読み始めたのが幻夜で、先日まで読んでたのが天空の蜂。
さまよう刃も面白そうだね。