くらやみに星をひろえ
ハードボイルド作家の北方謙三さんは、ときどき気まぐれな本を書きます。『雨は心だけ濡らす』『風の中の女』の2作だけ、女性が主人公という珍しいハードボイルドを書いています。歴史小説も気まぐれだと思ったんだけど、それはライフワークになっているようです。
『くらやみに星をひろえ』は児童文学。絵本『シロは死なない』に続く異色のこども向け作品です。
北方謙三は好きだし、ストーリーも北方節で嬉しいんですが、どちらも飼犬が死ぬ、という設定がツライ。彼の作品の特徴は"喪失"と"再生"で、もっとも大切なものを失う、という場面が多いです。それが人の成長の原点だと言うかのように。親や兄弟では生々しいし、モノが壊れるでは軽すぎる。それをこども向けに書くと愛犬の死になるんでしょうね。
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