砂時計
録り貯めした昼ドラマ『砂時計』をやっと観ました。30分で60回だから30時間です。でもちっとも飽きなくて、丁寧に作られていました。文学的な良作です。原作は少女マンガだそうですが。
昼の帯ドラマはご家庭の奥様が夢見がちな、現実ではあり得ないラブストーリーが多いけれど、たまにはゴールデン枠にしたいくらいの佳作が登場します。大塚ちひろさんがヤクザ経営のケーキ屋で奮闘する『ショコラ』、伊藤裕子さん主演、市毛良枝さんの演技がよかった『太陽と雪のカケラ』、小田茜さんの『ピュア・ラブ』は、禅寺の場面、川津祐介さんの説法がよかった。
昼ドラマは30分×週5回だから、毎週2時間半も見せてくれるんですね。週1回のゴールデン枠よりも尺が長い。そしてCMが2回入る。つまり10分という区切りがずっと続いていきます。そこに飽きさせない工夫をいっぱい詰める。これは細かい計算が必要だと思います。だから昼ドラマは作品の質の差が激しいんでしょうね。
さて、砂時計です。都会育ちの少女と田舎の少年の初恋の行方を描きます。12歳から26歳までの14年間の純愛物語。くっついたり離れたり、島根と東京の遠距離恋愛のジレンマなど、こちらがジリジリしちゃいます。子供から年寄りまで、すべての役者さんが上手かった。少女マンガが原作とあって、美男美女が揃ってた。
主役とその友人たち、三世代の役者さんが上手くつながっていて、しゃべり方や仕草に筋が通ってる。ほんとうに一人の人間が成長したみたいです。役の上で悪人がひとりもいない、みんな優しく、それゆえに悩み、苦しみ、そして明るく過ごしていく、というのも爽やかでした。演出もよかった。画がきれいでした。
とくに良かった点は島根の風景の美しさです。世界遺産に指定された石見銀山付近の景色が良くて、旅をしている気分になります。僕のお気に入りは駅の場面。小さな田舎の駅で別れや再会が描かれる。駅にはドラマがあるんだよなあ、って、結局、鉄道好きな視点になってしまいました。このドラマをチェックしたきっかけが初回の列車や駅のシーンだったんですけどね。
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