HERO--ティーンのための入門的法廷劇
中卒、逮捕歴アリ。型破りな検事、久利生公平が6年ぶりに東京地検城西支部に戻ってきた。久利生は自分自身の離婚裁判に忙しい同僚・芝山の代わりに、傷害致死事件の公判を引き受ける。だが、取調べですべて自供したはずの被告人は公判で突然無罪を主張。アリバイがあると言い出した。そして事件の背後に代議士、花岡練三郎の陰がちらつく。その花岡は久利生の前任地、山口の小さな町で善良な被疑者を嵌めた男だった……。
結論から言うと、テレビで充分な作品でした。そこそこ面白い。でも映画館で観るほどじゃない。レンタルDVDでいいし放送でもいい。だけど大画面で見るほどの迫力はなかった。
ドラマスペシャルを見ていない人にはまったく理解できないシーンやストーリーが多すぎる。まぁ、これはドラマのファン向け映画だからいいんでしょうけど。中井貴一のサブストーリー部分は悪くなかったしね。まあどっちかっていうと面白いんですけどね。映画にするにはツメが甘い印象でした。
たぶん伏線として使うはずのUSBメモリはどうなった?
肝心な法廷劇、久生が証人の矛盾を突くところって、あんなに詳しく説明的な場面を作らなくちゃいけなかったのかなあ。ターゲットとした観客層はそんなにアタマ悪いの? チラッと出しといてフラッシュバックのほうが良くないか?
そのへん、「黄泉がえり」のクルマの場面は上手かったぞ。あと、仲間たちの証拠探し、あの日数であの数字はありえない。
ラストの場面は唐突で直前のシーンとのつながりが弱い。残念。余韻はテレビシリーズの最終回のほうがずっと良い。ヒーローは誰か、というテーマをちゃんと打ち出しているわけだし。
もっとも、法廷劇の入門編として10〜20代が観るにはこのくらいがいいのかな。フジテレビ制作でプロデューサーは亀山千広氏。踊る大捜査線の人です。その踊る大捜査線は名作映画のモチーフで成功したんですよ。その手法で行ってほしかったです。この映画の場合はトム・クルーズのア・フュー・グッドメンでしょう。あれくらいの迫力があるとスクリーンで観たくなる。
そんなわけで、HEROを観て感動した、とか言ってる人は、ア・フュー・グッドメンを観ましょう。これぞ法廷劇です。
……比べちゃかわいそうかな?
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