白夜行
被害者の少年と容疑者の娘。その秘密に近づいた者は殺される。二人が巧みに操る運命の糸により翻弄される人々。一気に読ませる長編ミステリー。
びっくりした。怖かった。こんな人が回りにいたらどうしよう。いや、もしかしたら居たかもしれない。あの時の不幸は誰かが仕組んだことかもしれない。そう思わせるほどの新しい恐怖体験です。この小説ですごいところは、主人公であるはずの二人の心理描写がないんです。すべて第三者の視点で語られ、二人の見えない糸が結ばれている。だから先のストーリーが気になって仕方ない。
文庫のくせに厚さ3.5センチですよ。定価1000円。有り得ない。こんなの上下巻にして600円ずつでもいいじゃん、と思ったんですが、一気に読めちゃうので一冊の方が便利でした。分冊にして上巻だけ読んでも、下巻を読みたくて気持ちが焦っちゃう。一冊で良かった。重いけど。
白夜行は綾瀬はるかさんと山田孝之さんの主演でドラマ化されていますが、ワタシまだドラマを見ていません。ドラマのサイトを見ましたが、たぶん大筋は一緒だけど主題が違います。小説はミステリーで、ドラマはラブストーリー。だから泣けるのはドラマだと思う。小説の方は読み切った達成感と恐怖です。その恐怖の向こうにある二人の愛情や幸福への執着を、解りやすく謎解きした話がドラマ。だから小説版で読者が空想すべきところも映像化されちゃってる。
気をつけなくちゃいけないのは、ドラマのサイトは小説では中盤まで隠していることを初めから宣言しちゃうこと。だから両方楽しみたい人は読む方が先です。この小説からドラマスタッフが何を読み取ったのか。そんな興味でドラマを見てみたいです。
COMMENTS
確かにこんな女性が身近にいたら怖いです。